急性期/慢性期に優劣はありません。あなたの性格はどちら向き?

看護学生から病院に入職し初めて配属された急性期で、業務が思う通りにこなせなかったり、人間関係がうまくいかなかったりして、強いストレスを感じている方はいませんか?

頑張っているのに結果に結びつかない毎日。辛いですよね。
それなのに、急性期から離れてしまったら自分は落ちこぼれてしまう、看護師としての将来にも影響がでてしまう、なんて思ってはいないでしょうか。
もしそう思っているならば、心のどこかで「急性期=できる看護師」「それ以外=できない看護師」という偏った考えが無意識のうちに醸成されてしまっている可能性があります。

かくいう私も、新卒で入職した急性期病棟で、毎日ストレスにさらされて仕事をしている間、ずっとこのような考え方に取りつかれてしまっていました。

この記事では新卒看護師が「急性期=できる看護師」「それ以外=できない看護師」という誤った考えに陥りやすい理由と、慢性期病棟で働くことの魅力をまとめています。

急性期と慢性期で、患者さんに対する看護の役割や、そこで働く看護師の雰囲気はそれぞれ大きく異なりますので、自分に合った環境を知りましょう。

私の目を覚ました友人の一言

私は初めて勤務した病院で、自ら希望を出して急性期病棟に配属されました。
でも、勤務時間内に仕事が終わらなかったり、言動のキツイ先輩たちと上手くコミュニケーションが取れなかったりする中で、1年目の秋ごろから徐々に私だけ教えてもらえる業務に同期と差をつけられるようになっていきました。
なんとか同期に追いつけるように頑張ろうと思っていましたが、1年目が終わるころからは慢性期への異動希望はないか打診をされるようになり、「私はこの病棟に不必要と思われている」と感じ、モチベーションはどんどん低下していきました。

辛くて堪らずにいたある日、看護学校で同じクラスであり、助産師の資格をとってクリニックに就職した友人にこのことを話したところ、その友人は「えっ⁉いいじゃん慢性期。病院で働くなら絶対慢性期が良い。私、もともと妊婦さんの精神的なフォローとか社会復帰のお手伝いとかしたくて助産師になったんだよね。本当はお産とかとらず、カウンセリングだけやりたい。だから助産師じゃなくて看護師として働くなら長期的に関わって患者さんとコミュニケーションがとれる慢性期が良いな」と言ったのです。

私を慰めるつもりもなく、純粋な友人の気持ちから出た素直な言葉でした。
私はこの予期せぬ友人の反応に目から鱗が落ちる思いでした。
そして同時に、自分がいつのまにか、急性期から慢性期へ異動することを「落ちこぼれた」と否定的に捉えていることに気づき、その傲慢さにハッとさせられました。

考えてみれば私も友人と同じく、「患者さんの力になりたい。支えになりたい」という気持ちから看護師を目指したはずであり、その点からすると、急性期よりも慢性期の方が、ずっと自分のやりたい看護に近いことに気づいたのです。

結局私は病院自体を辞めてしまいましたが、次は慢性期病棟で働いてみたいとポジティブな気持ちで考えるようになりました。

新卒看護師が急性期からキャリアをスタートするべき?

看護学生から入職先を考えるとき「まずは急性期で3年働いた方が良い」というアドバイスを受けることがあります。
周りから急性期を勧められる一番の理由は、「多くの技術や経験を身に付けられる」ということ。
患者さんの入れ替わりが早いのでそれだけルートキープや処置の回数は多くなりますし、急変対応や多重業務が日常的であることから、あらゆる場面に対応できる臨機応変さが身についていきます。

急性期で3年の経験を積むことができれば、その後はどこにいっても通用しやすくなるという考え方に大きな誤りはないでしょう。
ただし、いつの間にかそれを逆にとらえた「急性期で3年の経験を積めなければ、どこにいっても通用しない」という考え方が芽生えてしまっていたら、それは少し考えに偏りが生じているかもしれません。

急性期3年の経験はどこでも通用するようになるための必要十分条件ではありません。
看護師の働き方は様々であり、そのどれもにそこでしか得られない経験があります
働き先によって必要とされる知識や技術も異なり、急性期でなければ道が閉ざされるということは無いのです。 

私の様に、「新卒はまずは急性期で働いた方が良い」という安易な理由で配属先を考えては、結果、当初自分が看護師としてやりたかったことや自分の性格とのギャップに苦しむことになりかねません。

慢性期病棟で働く魅力・得られる経験と向いている看護師の性格

慢性期病棟で働く魅力と看護師の性格についてまとめました。

慢性期とは、健康状態が比較的安定はしているものの、疾患の経過が長い、あるいは完全な治癒が望めない状況にあり、病気とともに生活を営んでいくことが必要となる時期を指します。

慢性期看護で働く魅力と得られる経験
 ●ルーティンとなる人工呼吸器や点滴の管理、経管栄養管理などの技術を着実に習得しやすい。
 ●症状を訴えられない患者さんも多いため、細かい変化を見逃さないアセスメント能力が養われる。
 ●合併症を含めた幅広い知識や、疾患と共に自宅で生活する方法を見据えた看護が必要となることから、訪問看護師や施設系で活かせるスキルが身につく。
 ●一人ひとりに向き合い「その人らしさ」を大切にしたコミュニケーション能力が身につく。

慢性期看護に向いている性格の方
 ●患者さんに寄り添う看護がしたいと考えている方
 ●先輩に質問しやすい環境で着実に技術を身に付けていきたい方
 ●幅広い年齢層の看護師がいる環境で働きたい方
 ●ワークライフバランスがとれる環境で働きたい方

まとめ

今いる環境で「仕事ができない」扱いを受けて悩んでいるたくさんの方に伝えたいこと。
それは、あなたが「仕事ができない」のではなく、単に「仕事が合っていない」だけかもしれないということです。
凝り固まった考えに振り回されることなく、あなたらしさを活かせる環境を探していきましょう。

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